この記事を書いた人

内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。
足のむくみとは
むくみ(浮腫)とは、体の組織に余分な水分が溜まった状態で、見た目だけでなく健康にも影響を及ぼすことがあります。
ここでは、足のむくみを中心にお話させていただきます。
足のむくみは、血流やリンパの流れが滞ることで重い水分が脚にたまり、腫れや重だるさを感じる状態です。
多くは生活習慣が原因で、くわしくはわからないことも多いですが、重い病気が隠れていることがあり、注意が必要です。
足のむくみ(浮腫)の原因
むくみ(浮腫)は、おおまかに指で押して跡が残るむくみ(圧痕性浮腫)と跡が残らないむくみ(非圧痕性浮腫)に分けられます。
指で押して跡が残るむくみ(圧痕性浮腫)は皮膚が柔らかくぷよぷよした感触で、指で数秒押すとくぼみができ、数秒~数十秒残ります。
跡が残らないむくみ(非圧痕性浮腫)では、指で押してもくぼみができず、むくんだ部分は硬く張ったような感触で、皮膚がテカテカする場合もあります。
両足に違いがあるか、左右差があるかも診断と治療に重要な症状となります。
両足に差がない場合は、全身性の病気を疑い、左右差があればむくんでいる側の足に病気が隠れていると考えます。
押して跡が残る足のむくみ(圧痕性浮腫)の原因
心不全や腎不全、静脈の血栓(ドロドロした血液が引き金です)や静脈瘤は、血液が体にもどりにくくなることでむくみの原因となります。
血液が薄くなって血管から水分がもれてむくむ原因としては、肝硬変、貧血、ネフローゼ症候群や低栄養があります。
アレルギー、やけど、けが、感染症(ばい菌・細菌が原因)、膠原病による血管の炎症では、血管が傷んで水分がもれやすくなってむくみが生じます。
押したときの指紋が残り方でどこに浮腫があるのかがわかります。
その他、治療中のお薬が原因となることもあります。
押して跡が残らない足のむくみ(非圧痕性浮腫)の原因
甲状腺機能低下症(橋本病など)や手術やケガによるリンパ浮腫が原因となります。
その他、アレルギー、感染症や炎症、治療中のお薬が原因となることもあります。
診断のための検査と治療
お話をお聞きし、視診と触診をすることで大まかな診断の方向性を決め、血液検査、尿検査、胸部X線写真、心電図、必要に応じて心エコーや下肢静脈エコーを行います。
もともとの病気の治療に加え、静脈に血栓がある場合、突然死する可能性のある肺梗塞の危険性が高いので、血液をサラサラにするお薬を開始します。
足のむくみは、一通り検査しても原因が断定できない場合があります。
この場合、下肢運動、弾性ストッキングの着用、塩分制限、体重原料、下肢挙上など生活習慣の改善で症状が改善することも多いです。
安易に利尿剤を投与されると、脱水や脳梗塞のリスク、腎臓が悪くなる可能性がありますので、ご相談ください。
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