この記事を書いた人

内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。
脂肪肝(γGTP上昇)とは
健康診断で「γGTP(ガンマ・ジーティーピー)が高い」と指摘され、不安を感じる方は少なくありません。
γGTPは肝臓や胆道の状態を反映する酵素で、特にアルコールの影響や脂肪肝と深く関係しています。
値が高いからといってすぐに重い病気というわけではありませんが、生活習慣の乱れや肝臓への負担が蓄積しているサインとなります。
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
脂肪肝自体は自覚症状がほとんどありませんが、放置すると脂肪肝炎や肝線維化、肝硬変へと進行することもあるため注意が必要です。
以前は「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれていましたが、現在では肥満や糖尿病、高脂血症などの代謝異常に関連する脂肪性肝疾患(MASLD:Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease)という名称に変更され、生活習慣病としての診療が勧められています。
γGTPの上昇は、脂肪肝の存在を示す一つの手がかりになります。
また、ALT(GPT)やAST(GOT)など、他の肝機能の数値と併せて総合的に評価することで、肝臓の状態をより正確に把握できます。
当クリニックでは、血液検査に加え、腹部エコーで肝臓の線維化の程度を測定することが可能です。
肝線維化とは、肝臓にコラーゲンが溜まって硬くなる状態で、放置すると肝硬変に進行するため、予防と治療が必須とされています。
γGTPの上昇や脂肪肝を指摘された際には、早めにご相談いただき、血液検査や腹部エコーで肝臓の状態を評価し、生活習慣の改善や必要なフォローを一緒に始めましょう。
肝臓を守るための第一歩は、早めの気づきと行動です。