この記事を書いた人


内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。

レストレスレッグ症候群(むずむず脚症候群)とは

レストレスレッグ症候群(RestlessLegsSyndrome:RLS)は、むずむず脚症候群とも呼ばれ、主に脚に不快な感覚が生じ、じっとしていることが難しくなる疾患です。

夕方から夜にかけて症状が強まり、睡眠を妨げることも多く、生活の質に大きく影響します。

症状

代表的な症状は、脚の奥がむずむずする、ほてる、電気が走るような感じがするといった不快感で、それを和らげるために脚を動かしたくなります。

座っている時や横になった時に症状が現れやすく、動かすと一時的に楽になりますが、再びじっとすると症状が戻ってしまいます。

このため、寝つきが悪くなったり、夜中に何度も目が覚めたりすることがあります。

原因

原因は完全には解明されていませんが、脳内のドパミン機能の低下が関与していると考えられています。

また、以下の要因が発症リスクを高めます。

  • 鉄欠乏(フェリチン低値)
  • 妊娠
  • 腎機能障害
  • 糖尿病や末梢神経障害
  • 抗うつ薬・抗精神病薬など一部のお薬

家族内に同様の症状が見られることもあり、遺伝的要因も指摘されています。

診断

問診で症状の特徴を確認することが診断の基本です。

血液検査で鉄不足の有無を調べます。

他の疾患(末梢神経障害、下肢静脈瘤など)との区別も重要です。

治療

治療は原因や症状の程度に応じて行われます。

生活習慣の改善

  • カフェイン・アルコールの制限
  • 規則正しい睡眠
  • 軽い運動やストレッチ
  • 就寝前の入浴、マッサージ

鉄欠乏の補正

血液検査で鉄不足が確認された場合、鉄剤内服や食事改善を行います。

薬物療法

症状が強い場合は、

  • リリカ®(プレガバリン)などα2δリガンド
  • ドパミン作動薬

を使用することがあります。

症状の強さや合併症、生活スタイルに合わせて薬を選択します。

なお、ドパミン作動薬は増悪の副作用があり、長期使用では注意が必要です。