この記事を書いた人


内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。

花粉症とは

花粉症は、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が体内に入った際、免疫が過剰に反応することで起こるアレルギー性疾患です。

くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみといった典型的な症状に加え、のどの違和感や倦怠感が出ることもあります。

日本では特にスギ花粉による影響が大きく、多くの方が毎年同じ時期に症状を繰り返します。

症状が強い状態が続くと、副鼻腔炎や中耳炎などの合併症につながることがあるため、早めの対応が大切です。


花粉症の治療法

治療としては、抗ヒスタミン薬、点鼻薬、点眼薬を用いた薬物療法が中心です。

症状に合わせて複数の薬を組み合わせることで、つらい時期の生活の質を保つことができます。

また、花粉に体を慣らす舌下免疫療法は、根本的な改善が期待できる治療法として注目されています。

これらの治療に加えて、花粉が多い時期はマスクや眼鏡の活用、帰宅後の衣類の花粉払い、室内の換気や空気清浄機の併用など、日常の工夫も非常に効果的です。


花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)とは

近年、花粉症と関連する症状として花粉-食物アレルギー症候群(Pollen Food Allergy Syndrome:PFAS)が注目されています。

PFASは、花粉症のある方が、その花粉と似た構造のタンパク質を含む果物や野菜を食べた際に、口や唇のかゆみ、唇の腫れ、のどの違和感といった症状を引き起こすものです。

花粉症のある方の10〜20%程度にみられるとされ、代表的な組み合わせとしては、シラカバ花粉とリンゴ・桃・梨、スギ花粉とトマト、ヨモギ花粉とセロリ・ニンジンなどが挙げられます。


PFASの症状と特徴

花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)の症状は多くの場合、口の中やのどといった限られた部位に現れ、数分から数十分で自然に治まるのが特徴です。

ただし、まれに蕁麻疹や息苦しさ、腹痛などの全身症状を伴うことがあり、注意が必要です。

原因となる食物でも、加熱することでアレルゲンが変性し、症状が出にくくなるケースがありますので、食べ方を工夫することも対策のひとつです。


当院での診療について

当院では、花粉症の診断・治療に加え、採血検査による花粉関連アレルギーの評価も行っています。

花粉‐食物アレルギー症候群(PFAS)が疑われる場合には、生活上の注意点や避けるべき食品などについて丁寧にご説明し、症状に合わせた対応を一緒に検討します。

果物や野菜を食べた際に口の中がかゆくなる、のどがむずむずするといった症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。