この記事を書いた人


内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。

脱水症とは

脱水症は、体内の水分が不足することで、体の正常な機能が維持できなくなる状態です。

軽度の倦怠感から、重度では意識障害や血圧低下などの危険な症状が現れることがあります。

特に高齢者や小さな子ども、持病のある方は注意が必要です。

原因

脱水症の主な原因には次のものがあります。

  • 発汗による水分・塩分の喪失(暑さや運動時)
  • 下痢・嘔吐による水分喪失
  • 水分摂取不足(病気や飲み忘れなど)
  • 高齢者や持病による体液調節能力の低下

症状別チェックリスト

症状の程度主な症状対応の目安
軽症喉の渇き、倦怠感、尿量減少、めまい水分・塩分の補給 涼しい場所で休む
中等症頭痛、吐き気、口の乾き、皮膚の乾燥、筋肉のけいれん、尿量減少または一時的に増加経口補水液の補給 医療機関で点滴を検討
重症意識障害、動悸、血圧低下、ショック状態 尿量が逆に増えることも迷わず救急車で受診、点滴治療による速やかな回復が必要

※重症では、体の浸透圧バランスが崩れることで、一時的に尿量が増えることがあります。

予防方法

脱水症は日常生活で予防できます。

  • こまめな水分補給(汗をかく前から)
  • 塩分やミネラルの補給(スポーツドリンク、経口補水液)
  • 暑い環境を避け、涼しい服装を心がける
  • 高齢者や体調不良時は、周囲の人が水分摂取を確認する

応急処置

脱水症が疑われる場合は、次の対応を行います。

  1. 涼しい場所で休む
  2. 水分や塩分を少しずつ補給
  3. 嘔吐や下痢が続く場合は無理に飲ませず医療機関を受診
  4. 意識障害や動けない状態の場合は救急車を呼ぶ

点滴治療について

中等症・重症の場合は、口からの水分摂取だけでは十分な補給が難しいことがあります。

この場合、当クリニックでは点滴治療を行います。

  • 点滴により水分や塩分、必要に応じてブドウ糖を直接補給
  • 血圧や体液バランスの安定をサポート
  • 嘔吐や下痢で水分摂取が困難な場合でも迅速に体調を回復

まとめ

脱水症は誰にでも起こり得る身近な健康リスクです。

日常的な水分・塩分補給や環境調整で予防できます。

症状が現れた場合は、チェックリストを参考に早めに医療機関を受診してください。

中等症以上の場合は点滴治療によって安全に回復をサポートできます。

また、重症化した場合は尿量が一時的に増えることもあり、この変化にも注意が必要です。