この記事を書いた人

内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。
慢性腎不全(CKD)とは
慢性腎不全とは、腎臓の働きが長期にわたり少しずつ低下する病気です。
腎臓は、血液をろ過して老廃物を排出し、体内の水分や塩分、電解質のバランスを整える大切な臓器です。
腎臓の働きが低下すると、体にさまざまな不調が現れることがありますが、初期にはほとんど自覚症状がないことも多く、気づかないうちに進行してしまうことがあります。
主な原因
慢性腎不全は、以下のような原因で起こることが多いです。
- 糖尿病性腎症:糖尿病による腎臓の障害
- 高血圧性腎障害:長期間の高血圧による腎臓への負担
- 慢性糸球体腎炎:腎臓のろ過機能部分の炎症
- 先天的腎疾患や多発性嚢胞腎
- 薬剤や感染症による腎障害
進行すると、疲れやすさやむくみ、尿の変化などが現れることがあります。
検査について
腎臓の状態を確認するために、次の検査が行われます。
- 血液検査:血中クレアチニンやeGFR、血中カリウムを調べ、腎機能を評価
- 尿検査:蛋白尿や血尿の有無を確認
- 画像検査:超音波で腎臓の大きさや形を確認
必要に応じて、より詳しい検査や治療のため、総合病院への紹介も行います。
治療・生活管理
慢性腎不全は進行性の病気ですが、早期に発見して適切に管理すれば、進行を遅らせることができます。
生活習慣の改善
塩分やタンパク質の管理、禁煙、適度な運動
腎不全の方は、血中カリウムが高くなり不整脈を起こすことがあります。
食べ物で、特に春のいちご、夏のスイカとトマト、秋の柿、冬のみかんと干し柿の食べすぎは、腎臓に負担になることがあります。
薬物治療
血圧や血糖のコントロール、腎臓を守る薬の使用
高血圧の薬でACE阻害薬やARB、ARNIという薬剤は腎臓保護作用があります。
また、糖尿病薬として開発されたSGLT2阻害薬にも腎臓保護作用があります。
ただし、SGLT2阻害薬は一時的に腎臓の機能を低下されることも知られているので、検査をしながらの処方とさせてください。
定期的な検査
腎機能や血液・尿のチェック
末期腎不全の場合
透析や腎移植などの治療が必要になることもあります
受診をおすすめしたい方
慢性腎不全は症状が出にくいため、気になる症状がなくても早めの受診が大切です。
特に次の方は受診をおすすめします。
- 健康診断で腎機能異常(血中クレアチニン高値、尿蛋白)を指摘された方
- 糖尿病や高血圧など生活習慣病のある方
- 尿の泡立ちや血尿などの異常を感じる方
当クリニックでは、血液・尿検査による腎機能チェックから、生活習慣指導や薬物治療まで幅広く対応しています。
早期発見・早期治療で腎臓の健康を守り、安心して毎日を過ごせるようサポートいたします。