この記事を書いた人

内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。
目次
コロナ後遺症とは
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復した後も、倦怠感や呼吸の違和感、集中力の低下、咳などの症状が数週間~数か月続くことがあります。
これをコロナ後遺症(LongCOVID)と呼びます。
軽症であっても後遺症が現れることがあり、症状は人によってさまざまです。
主な症状
- 倦怠感・疲労感:日常生活で体が重く感じる
- 呼吸器症状:息切れ、胸の違和感
- 慢性咳嗽(長引く咳):感染後も咳が数週間以上続く
- 嗅覚・味覚障害:においや味が戻らない、異常を感じる
- 神経・精神症状:集中力や記憶力の低下(ブレインフォグ)、不安感、抑うつ
- 関節・筋肉の痛み:慢性的な体の痛みやだるさ
- 動悸やめまい:心臓や血管に関わる症状
症状は単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。
子どもや高齢者に多い後遺症の特徴
子ども
- 倦怠感や食欲不振が目立つ
- 気分の落ち込みや不安、睡眠トラブル
- 学校生活への影響(集中力低下、体力の減退)
高齢者
- 息切れや疲労感が強く、日常生活動作に支障が出やすい
- 筋力低下や転倒リスクの増加
- 認知機能や気分の変化が起こりやすい
子どもや高齢者は、自覚症状が少なくても生活の中で影響が出ることがあります。
早めの受診が安心です。
当クリニックでは、土日も診療しておりますのでご相談ください。
診断の流れ
後遺症の診断は、感染後の症状の経過や体調変化を詳しく確認することで行います。
- 症状の内容・出現時期・経過の確認
- 必要に応じた血液検査、画像検査、呼吸機能検査
- 他の病気との鑑別
当クリニックでは、丁寧な問診と検査を通じて、安心して受診いただける体制を整えています。
治療・ケア
症状に応じて、対症療法に加えて薬物療法も行います。
倦怠感・疲労感:ビタミン・ミネラル補充、漢方薬
ビタミンB12や亜鉛を含む薬剤、漢方薬では補中益気湯や十全大補湯が効果的です。
呼吸器症状・慢性咳嗽:気管支拡張薬、吸入ステロイド、咳止め・去痰薬、呼吸リハビリ
聴診させていただき、肺の音からお薬を組み合わせます。
嗅覚・味覚障害:ビタミンB群、亜鉛補充
ビタミンB12や亜鉛を含む薬剤を長めにお飲みいただきます。
また、うがいも有効です。
神経・精神症状:漢方薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠改善薬
抑肝散系漢方、必要に応じてSSRIやSNRIを組み合わせます。
花粉症の薬が有効な場合もあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)や後鼻漏がある場合には、クラリスロマイシンの長期投与を選択します。
関節・筋肉の痛み:鎮痛薬、NSAIDs
筋痛症の場合ステロイドが効果的なこともあります。
1か月を超える場合には、NSAIDsは効果が薄くなりますので、他系統の鎮痛薬を選択します。
薬物療法は症状や体質に合わせて選択されます。
自己判断は避け、診察の上で処方させてください。
受診をおすすめする目安
- 感染後、症状が数週間以上続く
- 日常生活に支障がある
- 呼吸困難、動悸、めまい、慢性咳嗽が続く
- 精神的な不調が続く
早めに受診することで、症状の悪化を防ぎ、回復をサポートできます。
生活上の注意
- 十分な休養と睡眠
- バランスの良い食事で体力を維持
- 無理のない運動で段階的に体力回復
- 定期的な受診で症状の経過を確認
コロナ後遺症は軽症でも長引くことがあります。
特に子どもや高齢者では、生活への影響が大きくなることがあります。
当院では、症状の改善だけでなく、生活面でのサポートも含め、一人ひとりに合わせた診療を行っています。
体調に不安がある場合は、早めにご相談ください。