この記事を書いた人

内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。
目次
脂漏性湿疹とは
脂漏性湿疹(しろうせいしっしん)は、頭皮や顔まわり、胸のあたりなど“皮脂が多い場所”に赤みやかゆみ、白い粉のようなフケが出る皮膚の病気です。
季節の変わり目や疲れがたまったときに悪化しやすく、「良くなったと思ったらまた出てきた…」という方も少なくありません。
慢性的に繰り返すことがありますが、きちんと治療すれば症状を抑えることができます。
なぜ起こるの?
原因はひとつではなく、
- 皮脂が多く分泌される
- マラセチアという皮膚の常在菌が増えやすい
- 肌のバリア機能が弱っている
- ストレスや睡眠不足
といった複数の要因が関係すると考えられています。
どんな症状?
よくみられるのは次のような症状です。
- 頭皮の赤み・かゆみ・フケ
- 眉間や鼻のわきの赤み、粉ふき
- 耳のまわりやヒゲの部分の赤み
- 胸の中央にできるうっすらした赤みと落屑
症状が軽くても、放っておくと広がったりかゆみが強くなったりすることがあります。
似たような病気との見分け方
脂漏性湿疹と似た症状の病気はいくつかあります。
総合内科でも次のような点をチェックすることで鑑別できます。
- アトピー性皮膚炎:乾燥肌で、肘や膝の内側に出やすい
- 乾癬:白っぽい厚い皮むけができ、境界がはっきり
- 接触皮膚炎:新しいシャンプー・化粧品の使用後に悪化
- カンジダ症:赤みがくっきりし、周りに小さな湿疹が出る
鑑別が難しい場合は皮膚科と連携して治療を進めます。
当クリニックで行う治療
治療の中心は外用薬で、多くの方はこれだけで改善します。
抗真菌薬(ケトコナゾールなど)
マラセチアの増えすぎを抑え、根本的な改善につながります。
ステロイド外用薬
赤みやかゆみが強いときに短期間使います。
顔は弱め、頭皮はやや強めを使用するなど、部位に合わせて調整します。
タクロリムスなどの非ステロイド薬
顔の長期的な維持治療に向いています。
副作用が気になる方にも使いやすい薬です。
頭皮のフケが多い方には、抗真菌シャンプーやフケ専用シャンプーを組み合わせるとより効果的です。
ふだんのスキンケアが大切
治療と同じくらい大切なのが毎日のケアです。
- 洗いすぎは逆効果。
- 優しい洗顔料・シャンプーを使用
- 保湿をしっかりして肌のバリアを守る
- ストレスや睡眠不足は悪化の原因に
- 冬は乾燥しやすく再発しやすいので、早めにケアを再開
受診の目安
赤みやかゆみが長引く、フケが大量に出る、市販のシャンプーで良くならない場合はご相談ください。
繰り返しやすい病気ですが、治療とケアで十分にコントロールできます。