この記事を書いた人


内科、循環器専門医の資格を持ち、医師として数十年医療現場に立つ。
2026年冬頃、「尼崎」に内科・循環器内科・心臓内科のクリニックを開業予定。

目・まぶたのむくみ(眼瞼浮腫)とは

まぶたは皮膚が非常に薄く、水分の影響を受けやすいため、顔の中でもむくみが目立つ部位です。

「朝だけむくむ」「片側だけ腫れる」「急にむくみが強くなった」など、様々な症状があります。

生活習慣が原因のむくみもあれば、腎臓・心臓・肝臓・甲状腺などの病気が隠れているむくみもあり、注意が必要です。

目・まぶたがむくむ原因|生活習慣と病気

①生活習慣が原因のむくみ

  • 塩分のとりすぎ
  • うつぶせ寝・低い枕
  • 飲酒
  • スマホの長時間使用
  • 甘いものの多食
  • 寝不足

まぶたは皮膚が薄いため、水分がたまりやすくむくみやすいことが特徴です。

②病気が原因で起きる目・まぶたのむくみ

以下では、むくみの原因として特に多い疾患を解説します。

病気が隠れている「危険なむくみ」とは?

➀腎臓の病気(腎不全・ネフローゼ症候群・慢性腎炎など)

腎臓の病気ではまぶたのむくみが初期に現れやすいことが特徴です。

低アルブミン血症によるむくみでは、腎臓の障害で尿にタンパクが漏れる(タンパク尿)、血中アルブミンが減ることで水分が血管外へ漏れ、まぶたが腫れます。

腎臓の働きが悪くなると水分や塩分の排泄ができにくいため、むくみが出てきます。

特に朝起きた時のむくみには注意が必要です。

腎臓が悪くなると透析が必要になることもありますので、早めの受診をお勧めします。

②肝臓の病気(肝不全・肝硬変など)

肝臓はアルブミンを作る重要な臓器です。

肝臓の働きが悪くなるとアルブミンが作れなくなり低アルブミン血症になります。

低アルブミン血症では血管外に水分が漏れやすくなるため、まぶた・足・腹部にむくみが生じます。

肝炎が悪化した肝硬変では、腹水が溜まり、全身のむくみや顔にもむくみが出ることがあります。

➂心臓の病気(心不全)

心臓のポンプ力が低下すると、血液循環が悪くなり、体に水分が溜まりやすくなります。

足のむくみがよく見られますが、顔とまぶたのむくみから始まる場合もあります。

➃甲状腺の病気(バセドウ病・橋本病)

甲状腺ホルモンの異常でも、以下のような症状が出ます。

  • 顔のむくみ
  • まぶたの腫れ
  • 眼の症状(バセドウ病)

➄眼瞼炎・アレルギー性結膜炎

炎症やアレルギーによって、

  • 片側のまぶたの腫れ
  • 赤み
  • かゆみ

が見られることがあります。

⑥膠原病

膠原病の一部では、腎障害や全身のむくみを伴い、まぶたのむくみが現れる場合があります。

こんな症状は早めの受診を|放置が危険なサイン

以下に当てはまる場合、病気が原因の可能性があります。

  • 朝のまぶたのむくみが毎日続く
  • 顔や足のむくみが強くなってきた
  • 尿の量が減ってきた
  • 数日で2〜3kg体重が急に増えた
  • 高血圧・倦怠感・息切れを伴う

むくみの急激な悪化は、腎臓・心臓・肝臓などの異常が背景にあることもあります。

当院で行う検査|原因を特定するために必要な検査

症状や問診から原因を推測し、必要に応じて以下を行います。

  • 血液検査(腎機能、肝機能、甲状腺、アルブミンなど)
  • 尿検査(タンパク尿・塩分や水分バランスの評価)
  • 胸部X線
  • 心電図
  • エコー検査(腹部・心臓・腎臓など)

原因は多岐にわたるため、総合的に評価します。

まとめ|まぶたのむくみは軽い症状でも注意が必要

朝起きた時のまぶたのむくみが毎日続く、足や顔のむくみがだんだんひどくなる、尿の量が減った、数日で2~3kg以上体重が急に増えた、その他高血圧、倦怠感、息切れなどが同時に出ていましたら、ご相談ください。

お話をお聞きし、視診で大まかな診断の方向性を決め、血液検査、尿検査、胸部X線写真、心電図、必要に応じてエコーを行います。

一度ご相談ください。